• 2022.07.31
  • 文学, 読書
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『掃除婦のための手引書』

掃除婦のための手引書』ルシア・ベルリン著 岸本佐知子訳 講談社

はじめて、ルシアに出会ったのは、『早稲田文学 増刊 女性号』だったと思います。

ルシア・ベルリンの魅力にハマって、なかなか感想を書くことができませんでしたが、3年越しでようやく書こうと思いました。

この魅力をうまく表現できなかったのですが、ルシアの2冊目『すべての月、すべての年』が発刊されたので、書いてみることにしました。
*『すべての月、すべての年』は次回。

ほぼ私小説のようなこの作品は、小説なんですが、自叙伝のように読んでしまいます。それだけに、作品より、ルシア本人に興味が引かれてしまいます。

短編集であるのですが、どこかリンクしていて続きかな?と思うことが、しばしばあります。

表題作である「掃除婦のための手引書」は、文字通りハウスキーパーのお仕事をしている主人公のお話です。アメリカの底辺とも言える生活の中でも、淡々とした語り口調ですんなり受け入れることができます。なんて言うか、ドロドロ、ベタベタしていないんです。どこか乾いていて、達観している感じが現実の辛さをマイルドに感じさせているような気がします。

全体に重く感じさせず、しなやかにさせているのは、ルシアの語り口調がとても詩的だからかもしれません。

どのお話もハッピーエンドでは終わりません。でも、読後には重苦しい空気は残りません。
頑張って、日常を生きようと思わせてくれます。
不思議な魅力がある作品です。


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