『ザリガニの鳴くところ』

『ザリガニの鳴くところ』 ディーリア・オーエンズ 友廣 純訳 早川書房

2021年本屋大賞 翻訳小説部門 第1位

2019年・2020年アメリカで一番売れた小説

全世界1000万部突破!

全米五百八十万部突破の傑作

「ノースカロライナ州の湿地で青年の遺体が見つかる。村の人びとは「湿地の少女」カイアに疑いの目を向ける。幼いころ家族に見捨てられてから、人々にさげすまれながらたった一人湿地で生き抜いてきたカイアは果たして犯人なのか」早川書房WEBサイトより

ここまで評判になるとは… 
本当に面白かった。
ただ、まず本の厚さにたじろぐよね。

最後まで結末が分からず、ドキドキとはどっち?って思いながら、その気持ちを途切らせずラストまで持って行くってすごい作品です。

まずこの本が、ミステリーの分類となっているけど、それだけではない。

ミステリーがなくても、十分読ませる作品となっている。

アメリカの現代の問題がてんこ盛りになっており、主人公のカイアは白人なのだけど貧しくコミュニティからは幽霊的な存在だ。
親切な黒人に良くしてもらっていることが、また白人社会から嫌われてしまう。
父親からの家庭内暴力、ネグレクト、貧困…

カイアの幸せを願わずには居られなくなる。
彼女は、孤独に耐え自分の力で自分の道を切り開いていくのだが、ここがアメリカ人が好むところなのではないだろうか…

カイアの孤独な毎日と殺人事件、どう展開していくのか、読みだしたら止まらなくなること間違いない。

もう一つの見どころ(読みどころ?)は、湿地の自然の描写がとても美しいこと。

それもそのはず、作者のディーリアは動物学者であり、自然に親しい。

ディーリア・オーエンズ
ジョージア州出身の動物学者、小説家。
ジョージア大学で動物学の学士号を、カリフォルニア大学デイヴィス校で動物行動学の博士号を取得。ボツワナのカラハリ砂漠でフィールドワークを行ない、その経験を記したノンフィクション『カラハリ―アフリカ最後の野生に暮らす』(マーク・オーエンズとの共著、1984)(早川書房刊)が世界的ベストセラーとなる。同書は優れたネイチャーライティングに贈られるジョン・バロウズ賞を受賞している。また、研究論文は“ネイチャー”誌など多くの学術雑誌に掲載されている。現在はアイダホ州に住み、グリズリーやオオカミの保護、湿地の保全活動を行なっている。69歳で執筆した初めての小説である

これを読むと、湿地に行きたくなる。
自然っていいなと思ったりしてしまう…単純です。

ザリガニの鳴き声が聞こえるほどの静けさって…
ね… 怖過ぎです。


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