あなたのための短歌集
『あなたのための短歌集』木下龍也
依頼者からお題をいただいて、歌人・木下龍也さんが歌を作られた歌集だそう。
ひとりひとりに向けて、歌を作っていただけるなんて素敵だ。
こんなプロジェクトがあったとは全然知らなかった。
100首読まれている中で、好きな歌を選んでみた。
「愛された犬は来世で風となりあなたの日々を何度も撫でる」
この歌を依頼された方は、
「いま飼っている犬、かつて飼っていた犬、そして、実家の病気になっている老犬たち。私はすごく犬を愛していますが、その分、いつかやってくる別れを思うと、胸がつぶれそうなほどに寂しくて恐ろしくて仕方がないです。そんな私のお守りとなる短歌をください。
とお願いされたそうだ。まったく同じ思いで、この歌に胸が熱くなった。
辛くても、きっと乗り切れるはずだ。と…
このような依頼者に寄り添った短歌が詠まれている。
自分なら、何について作って欲しいのか… 聞かれていないのに考えてみる。
やはり愛犬と家族のことなんだろう。
大事に想えば想うほど、失うのが怖くなるのは仕方ない。だけど、いずれ別れはやってくる、必ず。
その時のために準備しておきたい気持ちはよく分かる。でも準備していても、辛い気持ちや後悔する思いは変わらないのだろう。いつでも、大事に想っている気持ちを隠さず、精一杯大切にすることだと思う。
機会があれば、歌を詠んでもらいたい。