海をあげる

『海をあげる』 上間陽子著 筑摩書房

上間さんのインタビューがありました。
想像していたよりも、とても可愛らしい方でした。少女のような方からの、とても力強いメッセージ(この本)をしっかり受け取りました。

Yahoo!ニュース|本屋大賞2021 ノンフィクション本大賞受賞
第7回書店大賞 沖縄部門大賞受賞
第14回 [池田晶子記念]わたくし、つまりNobody賞受賞

華々しい賞の数々ですね。

沖縄の生活を、幼い娘のかたわらで、強く、静かに描いた傑作。
「海が赤くにごった日から、私は言葉を失った」
痛みを抱えて生きるとは、こういうことなのか。言葉に表せない苦しみを聞きとるには、こんなにも力がいるのか。 ー本の帯より

この本を読む前に、石牟礼道子さんの『苦海浄土』を読んでいたのと、ウクライナ情勢のことも合わせて、とても気分が沈んでいた。
ロシアに賛同する国があることを、ロシアを擁護しようとする人がいることを、ニュースで知った。
わたしは、この世界に絶望した。
そして、『苦海浄土』を読んで、救われない水俣病患者や漁民のことを思い、この世界は何も変わっていないのだと、さらに絶望した。

著者が行っている若年出産女性調査の女性たちは、みな一様に苦労している。日々に疲れ切っている。
彼女たちの抱える問題の解決方法を探るのは、簡単ではない。問題が一つではないからで、それも、過去も現在もそしてこれからも問題は山積し続けるのだろう。人は傷つけ合わなければ生きていけないのだろうか。と考えさせられる。沖縄に特別多い問題なのかどうかは、分からない。

ただでさえ、沖縄が抱える苦悩は多い。沖縄だけが基地問題を抱えるのはおかしい。いつもそう思う。日本全員のことなのに。なぜ政治家になってしまうと、人々の意見を聞かなくなってしまうのか?
誰のための政治家なんだろう?

著者の絶望を受け取った者として、なにかやるべきことはあるはずだと思う。


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